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日本血液学会声明文

 臨床研究を通じて、あたらしい治療方法、診断方法、ならびに予防方法を開発することは、国民の健康を維持するためにわれわれ臨床医、研究者に果たされた使命であります。そして、あらたに開発された、あるいは従来の予防、診断、および治療方法が真に最良のものであるかどうか、その有効性、効率性、利便性および医療の質は、つねに厳正な臨床研究を通じて検証されなければなりません。これら臨床医学の進歩や新しい医療の開発は人を対象とした臨床研究によってもたらされますので、だからこそ臨床研究においては、適切なインフォームド・コンセントをはじめとした被験者保護に対する考え方が科学的および社会的利益よりも常に優先されなければなりません。われわれ臨床医、研究者は「臨床研究に関する倫理指針」を遵守して被験者の人としての尊厳および権利を守るとともに、より円滑に臨床研究を行うために、臨床医、研究者各人には確固とした倫理観と高い見識が要求されるのは当然であります。

 また近年、科学技術の進展にともない幾多のあたらしい技術が開発され、治療や診断にそれを応用しようとする研究が盛んに行われております。なかでもヒト幹細胞を用いる細胞治療や再生治療に関する臨床研究は、臓器機能再生などを通じて、国民の健康の維持ならびに疾病の予防、診断及び治療に重要な役割を果たすことが期待されていることは周知であります。将来有用な医療に繋がる可能性を秘めたヒト幹細胞臨床研究が、社会の理解を得て適正に実施及び推進されるよう、個人の尊厳および人権を尊重し、かつ、科学的知見に基づいた有効性および安全性を確保するために、ヒト幹細胞臨床研究にかかわるすべての者が尊重すべき事項が「ヒト幹細胞をもちいる臨床研究の指針」として定められております。加えて、ヒト幹細胞臨床研究の実施に際しては、本指針の要件に基づくのみならず、最新の知見に留意し、厚生科学審議会に各臨床研究計画を申請し、個別に審査を受けることが要求されております。

 以上の観点を踏まえ、わが国における臨床研究の評価を国際的に高めてゆくため、日本血液学会は、これらの臨床研究に携わる臨床医、研究者の学会員諸氏に対し、「臨床研究に関する倫理指針」および「ヒト幹細胞をもちいる臨床研究の指針」をはじめとする種々の臨床研究に関するルールを遵守していただくことをつよく要望するものであります。わが国における臨床研究のコンプライアンスを正しく確立する必要があることを十分に認識していただけるよう、宜しくお願い申し上げます。


平成24年2月
日本血液学会理事長 金倉 譲
日本血液学会 賞罰・倫理委員会

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